ホールの音響設計のポイント
投稿日:2015.02.25
コンサートホールなどの音を楽しむ空間では、その音響設計がモノを言います。ホールの防音設計には最大限気を配り、よりよい音を楽しむ空間を作ることが重要なのです。ここでは、ホールの音響設計についてご説明したいと思います。
ホールの特徴から方法を考える
まずは音響設計を行うホールの特徴をしっかりと理解することから始めます。大きさ、広さ、天井の高さや席の数、席と舞台の距離など、あらゆる情報を理解し、防音設計を施す準備をしましょう。
ホールの音響に関して重要なことは、内部の音が外部に漏れないよう設計することはもちろん、外部からの音を取り込まないことや、内部の反響についてもこだわる必要があります。どんな音が発生するのか、反響は多いほうがいいのかなどまで想定し、設計を行うことが重要です。
ホールの遮音性能
ホールを設計する際に、最も注意すべきポイントとして、周辺への騒音トラブルを引き起こさないための遮音性能があげられます。遮音性能はD値という指数によって表すことができ、これを参考に音がどれくらい遮られているかを測定します。
このD値は数値が低ければ低いほど音が漏れている状態になります。例えばD-15程度ですと、ほぼ筒抜け状態で、小さな物音ですら周囲に聞こえてしまうような状態です。
ホールを設計する際には、D-65~80程度が理想とされています。D-65ですと、通常では聞こえることはないような防音効果が期待できます。話し声はもちろん、物音も聞こえることはありません。
ただし、ホールの場合は通常よりも大きな音を発する可能性が高いため、それ以上のD値を目指す必要もあります。D-80まで達すれば、会話の音や物音は全く聞こえなくなります。さらに、大音量のスピーカー音も遮ることができます。完璧なホールを設計するためには、このD値を参考に防音設計を施してみてください。
ホールの用途によっても音をコントロールすべき
さて、上記で音を遮ることについてご説明しましたが、ホールは内部の音にも気を配らなければなりません。つまり、反響する音の性質によってもさまざまな設計ポイントがあるのです。
まず演奏で利用することが多いホールでは、残響を楽しむ必要があるため、音の跳ね返りを大きくする設計を考えたほうがいいのです。反対に、スピーチや会議で使うホールの場合、残響が大きすぎると聞こえにくいほか、録音もしにくいので、残響を少なくする必要があります。
こういったホールの目的によっても大きく内部設計が変わってきます。どういう目的で利用するかを明確に選定し、専門家との相談によって施工を考えてみてください。
音響障害の防止について
また、音響施設で起こりやすいのが、平行した音が衝突することによる音響障害です。ステージからの音と反響した音が平行にぶつかり合うと、違和感のある音に聞こえてしまいます。
音は空気の振動によって伝わるため、距離によっても伝わる音が変わってしまいます。これが原因で、ある席では心地よく聞こえていたはずが、違う席では聞きにくいなんていうことも出てきてしまうのです。
これらのエコーやカラーレーションと言われる音響障害が起こらないように、ホールを設計する必要があります。これらは、音の反響を数値化することや、音響の伝わり方を調整する専門家のアドバイスを聞きながら、慎重に設計する必要があります。
以上、ホールの音響設計についてご説明しました。音を最大限楽しむ空間であるホールは、いろいろな用途によってその音響設計も変わってきます。どのようなターゲットにどのような音を聞かせたかをしっかりと明確にしたうえで、音響設計に臨んでみてください。
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