プライベートコンサートホール施工事例~プレイ江古田(長谷工不動産様)~
投稿日:2022.01.19
音大生・若手演奏家向けのコンセプトマンションとして誕生した「プレイ江古田」。プレイ江古田の地下には2つのプライベートコンサートホールがあり、防音施工を高橋建設が担当しています(※)。
当マンション開発の経緯や、高橋建設にご依頼いただいた理由、防音効果などについて、開発に携わった長谷工不動産の谷野さんに話を聞きました。
(※)高橋建設による防音工事はプライベートコンサートホール部分のみです。プレイ江古田の住居部の防音設備には関わっておりません。
今回インタビューさせていただいた方:
株式会社長谷工不動産 コンセプト開発部
チーフ 谷野 真太郎さん
コンセプトマンション「プレイ江古田」開発の経緯とは
―はじめに、プレイ江古田のマンション開発経緯について教えてください。
「一般的な賃貸マンションではなく、ターゲットを絞ったコンセプチャルな物件を作れないかということで、“じぶんの好きと住むマンション” 「LIVWIZ」シリーズをスタートさせた頃で、プレイ江古田もその1つになります。
江古田という立地に合う内容でコンセプトから検討した結果、武蔵野音大等もあるので音大生や若手の演奏家をターゲットとした「音楽」というコンセプトが決定しました。
地下には2タイプのプライベートコンサートホールがあり、うち1室には、世界三大ピアノメーカーのひとつ「スタインウェイ&サンズ」のグランドピアノが設置してあります」
―プライベートコンサートホールの設置はどのように決まりましたか。
「プランを色々やり取りしている中で、共有スペースに付加価値をつけて他と差別化を図ってはどうか、という話になりました。立地的にも地下が作れるぐらいの容積があり、建築的な要件に余裕があったので、コストはかかっても地下に防音のコンサートホールを作ることになりました。
この企画を進めるなかで音大生にグループインタビューを行い、大学にも練習室があるが試験前はなかなか取れないこと、夜遅い時間に部屋で弾くと防音とはいえ隣への音漏れが心配、防音のホールが別にあると安心、など自宅で困っていること、要望なども聞いています。地下にあるプライベートコンサートホールは24時間、時間を問わず練習ができるスペースとして現在活用されています」
プライベートコンサートホールの設計を高橋建設に依頼
―プライベートコンサートホールの設計を高橋建設にご依頼いただいた理由についてお聞かせください。
「防音について我々はまったく経験がなかったので、スタジオ施工などに優れた専門業者にお願いすることにしました。その中で、ご縁があって高橋建設さんにお願いすることになりました。事前にショールームを見せてもらい、防音の具合など体感させていただきましたが、数値的なところはほぼお任せしています」
―プライベートコンサートホールの設計、施工に関して、難しかった点などはありましたか?
「プレイ江古田は、賃貸マンションとしては珍しく専用のデザイナーにも入ってもらって作っているため、デザイナーが求める要素と防音効果を両立させるところ課題でしたね。デザイン的にも魅せたいけれども、こういう素材は防音に適していないなど、使えるもの使えないものなど、防音に関するところはしっかりと高橋建設さんに判断いただきながら施工していきました」
各ホールの防音効果について
―プライベートコンサートホールは2室ありますが、それぞれの防音効果について教えてください。
「ホールCはピアノ演奏用のコンサートホールで、スタインウェイ&サンズのグランドピアノで演奏会を楽しむこともできます。防音だけでなく、照明や内装にもこだわりました。ミニコンサートを想定して、遮音性と吸音性のバランスを調整し、豊かな響きのある音響空間になるように配慮してあります。
ホールJはジャズをイメージしたスタジオで、ベヒシュタインのアップライトピアノとヤマハのドラム、マーシャルなどのアンプが揃っています。吸音素材を壁面に使用するなど、ホールCよりも防音効果を高めた施工になっているので、ドラムなど非常に大きな音を出しても音漏れの心配がないようになっています。さらには、プロの演奏家の方々にも大変好評を頂いております。」
―各ホールの出入り口は、二重扉にもなっていますね。
「開口部も外部スタジオと同様、二重扉になっています。さらに、地下1階は住戸の建物とは切り離した構造になっているので、コンクリートを通して音の振動が伝わりにくい設計です。24時間、好きな時に演奏できるよう、しっかりと対策がしてあります。実際に、朝早い時間帯と夜遅い時間帯に多く使われていて、自室で演奏すると支障がありそうな時間帯に使われている印象です。三重奏、四重奏など、何人かで合わせてやる場合にもホールを使う方が多いですね。
また、防音とは直接関係ありませんが、扉は鍵穴ではなく非接触キータイプなので、予約した人の部屋の鍵をかざすだけで開くシステムになっています。専用サイトから予約して部屋の鍵で開けるので、入居者だけが利用できる安心感と、24時間鍵の受け渡しなしにいつでも利用できる利便性を兼ね備えています」
―非常にこだわりの強いマンションですが、入居を検討される方にはどのように案内しているのでしょう。
「一般的な賃貸の仕組みとしては、事業主は物件が完成したらそこまで、あとは不動産仲介業者におまかせですが、プレイ江古田に関しては、防音マンションであることだけでなく、地下のホールやデザインなど付加価値の部分まできちんと説明できないと魅力が伝わらない。そのため弊社でホームページを立ち上げたり、音楽に関する媒体に広告を出したり、雑誌に載せてもらったり、きちんとコンセプトが伝わるように自分たちでアプローチしています。実際にお客様のご案内を行うこともあります」
―このようなコンセプトマンションを、これからも開発される予定はありますか?
「同じく音楽をコンセプトにした第2弾のマンションを、新丸子に建設中です。東横線の新丸子は南武線が乗り入れている武蔵小杉も近いので、中目黒の東京音大、溝の口にある洗足音大などの学生さんをターゲットにしています。そちらのコンサートホールの防音施工も高橋建設さんにお願いしています」
―本日はありがとうございました。
プレイ江古田では、本インタビュー時点ではコロナ禍の影響でホールでのコンサートなどは中止になっていたものの、今後は地域の子供達を対象にしたイベントなどを再開していく予定と語っていました。
賃貸マンションでもこのようにコンセプトを設け、差別化をするケースが出てきています。高橋建設では今回のようなホール、スタジオ、そして防音室などの施工に対応します。防音室をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。