木造住宅を防音リフォームする際のポイント
投稿日:2021.03.22
木造住宅は、その構造上、室内の音が外に漏れやすく、外の騒音も入ってきやすいという性質があります。そのため、ピアノやギターを練習するときはご近所に気を遣い、大きな道路のそばや線路沿いに家があると騒音が気になるということに……。そのような状況を改善するのが防音リフォームです。この記事では木造住宅を防音リフォームする際のポイントについて解説します。
木造住宅の遮音性
はじめに木造住宅の遮音性について紹介します。
木造住宅の遮音性は決して高くはありません。というよりも「低い」と言ったほうが適切かもしれません。その理由は、建物の構造にあります。
木造住宅は、木の柱や梁を組み合わせて家の骨組みを造ります。その骨組みに壁や床、天井を取り付けていくわけですが、壁も天井も素材が薄く、天井裏など空間が生じやすいのが弱点です。空間には空気がありますが、音は空気を通して伝わるもの。
さらに木造住宅は、目には見えない程度ではあるものの隙間が生じやすく、そこを通して音が出たり入ったりしやすいという特性もあるのです。
これが鉄筋コンクリート造りになると、かなり遮音性が高くなります。柱や骨組みに鉄骨を使い、その隙間にコンクリートを流し込んでしまう構造だからです。分厚いコンクリートで覆われた部屋を思い浮かべてみるとわかりやすいかと思います。天井にも壁にも空間が生じず、隙間もありません。
木造住宅を防音リフォームする際の箇所
遮音性の低い木造住宅を防音リフォームする場合、空気を通した音が伝わりにくくすること、隙間をできるだけ減らすことがポイントです。具体的にどのような工事をするのか、簡単にまとめてみました。
床の防音リフォーム
床を通して伝わる音を防ぐリフォームには、いくつかの方法があります。
いちばん手っ取り早いのが、今の床材をはがし、防音機能のある床材に交換することです。フローリングタイプのもの、ウレタンを使ったクッション性のあるものなど、さまざまな素材の防音床材があります。防音したい音の種類、床材の性能、予算に合わせて選ぶとよいでしょう。
床材の下に遮音機能のあるマットを敷く、吸音性能のあるパネルを設置する、防音機能にすぐれたファイバーグラスを敷き詰めるという方法もあります。現在の遮音性の実情に合わせ、床材の交換込みで工事もできますし、床材は現在のものを生かすかたちで交換することも可能です。
壁の防音リフォーム
楽器の音、話し声などは壁を通して伝わっていきます。
これらの音を軽減するリフォームの方法として一般的に行われるのが、壁の内側に遮音シートと吸音材をはさむこと。遮音シートは外からの音を遮る働きをし、吸音材は、室内の音を吸収します。このふたつをセットすることで、入る音にも出る音に対処が可能なのです。
さらに効果を高めたいなら、壁の中にある石こうボードを厚くするという方法もあります。ただし、工程が増えれば増えるほど費用がかかり、工期が長くなることも事実です。どのような音を防音したいのか、しっかりとした目的を持ち、具体的な工事の方法を考えていきましょう。
もしも壁に換気扇や通気口がついている場合は、そこにも対処する必要があります。音が出入りするからです。
具体的な対策としては、開口部にキャップを取りつける、開口部やダクトの素材を防音機能のあるものに交換するといった方法があります。費用はさほどかからないので、壁のリフォームと同時に工事をしてしまうとよいでしょう。
窓の防音リフォーム
窓からも音は出入りします。それを防ぐためにできるリフォームの方法は、大きく分けて2パターンです。
ひとつは、現在設置されている窓の内側にもうひとつの窓、いわゆる内窓を取りつけて窓を二重にする方法。防音機能のあるガラスを使えばさらに効果はアップします。内窓をつけると冷気が伝わりにくくなるので、冬の結露対策としても効果的です。
もうひとつのパターンは、窓ガラスを防音効果のあるものに取り換えてしまうこと。メーカーによって素材や仕様は異なりますが、一定の効果を得ることはできます。
防音リフォームを行うのも大切だが防音室を設けるという手も!
お伝えしたように防音リフォームでは、床、壁、窓のうち必要とされる箇所に工事を行うことができます。ただ残念ながら、部分的な防音工事では満足を得られないこともあるのです。
もし、ピアノやギターなど楽器の音を外に漏らしたくないのであれば、本格的な防音が必要になります。その場合は、家の中に防音室に設置することを検討してみてはいかがでしょうか。つぎはぎのように部分的なリフォームをするよりは使い心地も防音効果もアップしますし、何度も工事をする必要もなくなります。
防音室の造り方には、大きくふたつの方法があります。一部屋を防音室に造り変える方法と、ユニット式の防音室を部屋に設置する方法です。
両者を比較すると、費用は一部屋を防音室に造り変えるほうがかかりますが、ユニット式よりは防音効果は高くなります。ユニット式は1畳程度の広さから設置できますが、素材によって防音のレベルに差があり、部屋に置いてみるとそれなりの圧迫感があることも確かです。何のための防音なのか、目的をはっきりさせて検討してみてください。
その際、大切なことは専門業者に相談することです。グランドピアノのように重たい楽器を置くのであれば、床の補強なども必要になります。室温をどのように管理するかも考えておかないと、真夏や真冬は使えないということにもなりかねません。自分たちの要望をしっかり伝え、最適な提案をしてもらうことが、納得できる防音室を造る第一歩です。
鉄筋コンクリート造の住宅やマンションに比べ木造住宅は、遮音性が低いという弱点があります。そのため、どうしても室内の音が漏れやすく、外からの騒音は侵入しやすくなります。楽器演奏、交通の騒音など対策をしたい場合は、防音リフォームで対処しましょう。より効果の高い防音を望むなら、防音室を設置することも方法のひとつです。ぜひ、検討してみてください。
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