低周波音とは

私たちの身の回りにはたくさんの「音」が溢れています。音は「周波」によって数値化することができ、図、表などにして表すことができます。人の声や風の音、楽器の音など、全てはこの「周波」によって音の違いを示すことができます。
ここでは、人間の耳では聞き取りにくい「低周波音」についてご説明したいと思います。

音が聞こえるメカニズム


人間は、鼓膜の振動を脳に伝えて音を認識することができます。外耳や内耳など複雑に入り組んだ耳の中に、空気の振動が伝わることによって判断します。

音の発生源から波のように空気が振動して伝わるので、「周波」と呼ばれています。周波は回数や波の大きさによって聞こえ方が違い、周波数が多いと高い音になり、少ないと低い音になります。
私たち人間は、一般的に20Hz~2000Hzまでの音を判断できます。それ以上や以下の音は、聞こえない、あるいは聞こえにくい音となります。高音より低音の方が聞こえづらいのですが、低音の方が遠くまで響くという特徴があります。

低周波数とは


「低周波数」とは、一般的に100Hz以下の周波数を指します。低周波数は、低すぎて聞き取りにくい、もしくは聞こえない周波数の音です。

低周波数の音は音楽において非常に重要で、音に深みが出るといわれています。耳で感じられるより低い音(20Hz以下など)で振動が伝わってくるものは、特に重低音と呼んだりもします。そういった極端に低い音を流すためには、低音再生専用のウーファーを使う必要も出てきます。

健康への被害

気持ちよく音楽を聴いていられる分にはいいのですが、低周波音を長期間にわたって聴き続けることで、健康被害が発生してしまう場合もあります。低周波音被害は数週間~数か月の潜伏期間があり、イライラや頭痛などの症状から始まります。やがてそれが大きなストレスとなり、健康に被害を及ぼします。
このような被害は、8Hz~30Hzほどの音に多く発生し、車のエンジン音や風車、工業用の機械の音などが主な原因となっています。

低周波音による被害例

工事の音がうるさい、電車の音が響くなどと言った騒音被害が、さまざまな場所で問題視されています。

実際の事例として、環境庁の資料によると、家庭用灯油ボイラーの音が深夜まで聞こえ、不快感により眠れないという苦情発生があります。結果、ボイラーの取り換えやコンクリートブロックの設置、吸音材の貼り付け、消音機、防音壁の設置などの対策をとることにより解決しています。

一度気になってしまうと継続的に不快感を感じることになり、次第にあらゆる音が騒音と感じてしまうこともあるようです。

例えば、自動車や電車のエンジン音、空調や冷蔵庫のコンプレッサーの音など、継続的に聞こえる音が気になり、次第にあらゆる音が「騒音」と感じてしまうようになります。
このような振動音などによる騒音被害は、心理的ストレスが強く、自殺者が出るほどの問題になっています。

また、健康被害だけではなく、窓やドアなど建具などが振動によりがたつくという現象も起こります(5Hzで70dB、20Hzで80dB程度の低周波音で発生)。