日常に潜む低周波音の発生源
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「床衝撃音」という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、住宅の音に関するトラブルの多くは、この「床衝撃音」からなるものです。
マンション住まいの方が特に気になる床衝撃音についてご紹介します。
室内を歩いたり、物を落としたりすると、床に振動が加わります。この振動が下の階に音となって聞こえることを「床衝撃音」といいます。「衝撃音」というと大きくて激しい音を想像するかもしれませんが、床に触れて起こる音全般を指します。子供がドタドタ走り回ったときにする音、ドライヤーを落としてしまったときにする音から、お箸を落としてしまったときの音までです。
通常は建物の構造や床の素材によって床衝撃音をある程度和らげる工夫がされていますが、住宅によって性能が異なります。
床衝撃音に関する床の性能を評価するための基準は、財団法人日本建築総合試験所が定めています。ΔLL(I)-4、ΔLH(I)-2のような等級で表され(2008年4月に改定される前は、L-40、L-55のような形でした)、最後の数字が高いほど遮音性が高いといえます。一般的には床の素材が硬いほど遮音性は高くなるので、床下のコンクリートが厚いほど遮音性が高いと言えるでしょう。
床衝撃音には2つのパターンがあります。一つは飛び跳ねたり重いものを落とした時に聞こえる「ドスン」といった音です。このような音を「重量床衝撃音」と言います。
もう一つが、軽くて硬いものを落とした時の「コツン」といった音です。これは「軽量床衝撃音」と言います。スプーンを落としたときや、椅子を引きずる音もこれに含まれます。
前述した等級のLHは重量床衝撃音、LLは軽量床衝撃音を表しています。
JIS(工業標準化法)においては、住宅の床衝撃音レベルの測定方法が規格化されています。専用の機械を使って床に衝撃を与えて、下の部屋で聞こえる音を測定するものです。
測定する機械というのは、タイヤで疑似的に飛び跳ねの衝撃を与えるバングマシーンと、コツコツと床を叩いて音を出すタッピングマシーンの2種類です。いずれの場合も下の階に複数のマイクを設置し、音を拾ってその大きさを測定します。
基本的に、床に触れると多少の音がするのは当然です。靴を履いていたり、走ったりすればそれだけ大きな音になりますし、何かを落としても音にはなります。しかし、この音がどうなるかは床の仕上げ材によって異なります。しっかりと音を吸収する素材であれば、どんなに大きな音をさせても聞こえにくくなりますし、反対に床の遮音性が低いと、カーペットやマットでカバーしなければならなくなります。床衝撃音の遮音性を高めるには、床自体の性質がとても重要なのです。
音のトラブルで最も多い事例が、床を通して聞こえる音になります。特に、毎日使う住宅には遮音性に十分注意する必要があります。音のトラブルをなくし、快適で過ごしやすい家を目指しましょう。
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