オフィスの防音が必要な理由とすべき箇所

ビルの一室を借り、室内をレイアウトしてデスクや事務機器などをセッティングすればオフィスは完成――のように思えますが、実は忘れずに対処しておきたいことがあります。それは防音対策です。「オフィスで楽器を演奏するわけでも歌うわけでもないのに?」という声も聞こえてきそうですが、オフィスにはオフィスならではの事情と理由があります。こちらの記事で解説します。

オフィスの防音が必要な理由

オフィスの防音がなぜ必要なのか、主な理由として次の2点が挙げられます。

集中して仕事が行える

オフィス内では、さまざまな音が発生します。さらには、車の騒音、警報機の音、学校が近くにあれば校内放送など、外から入ってくる音も多々。入居したビルが雑居ビルの場合、よそのオフィスの音が響いてくることもありますし、階段を上り下りする靴音、エレベーターのチャイムが気になることもあるでしょう。

身の周りで耳障りな音が発生すると、それが何気ない音であっても、人は集中力をそがれてしまいます。ある音がふと耳に入って以降、気にするまいと思っても、ついその音が気になってイライラ……という経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
集中して仕事ができないと、生産効率も上がりません。防音は、仕事に集中して取り組むために必要不可欠ともいえるのです。

情報漏洩(ろうえい)のリスク

外からオフィス内に音が入ってくるということは、オフィスで発生した音が外に漏れる危険性もあるということ。これの何が問題になるかというと、情報漏洩(ろうえい)です。
雑居ビルに設けた会議室で、経営に関わる大事な会議をしていたとしましょう。このとき部屋に防音対策をしていないのでは、話し合いの内容すべてを第三者に聞かれてしまう恐れがあります。
「壁に耳あり障子に目あり」といいますが、どんな部屋でも防音をしていなければ音は漏れてしまいます。だからこそ、オフィスとしての防音対策が必要なのです。

オフィスで問題となる騒音の種類

では具体的にどのような音がオフィスでは騒音となるのでしょうか。主なものを挙げてみます。

同僚の話し声、電話の声

人が集まれば声を掛け合いますし、簡単な打ち合わせであれば会議室を利用せず、デスクで会話をすることもあります。電話が置いてあれば呼び出し音が鳴りますし、電話に応答する声も響いてくるでしょう。何人か人が集まれば、声が発生することは致し方ありません。
ただ、それが度を超すと騒音になってしまいます。すぐそばでおしゃべりをされたり、甲高い笑い声が響いたり、仕事をする上で邪魔になるのであれば、それは騒音です。

コピー機などの音

コピー機、プリンターなど、オフィスに設置された機器が作動するときの音も、騒音のひとつになる可能性があります。

オフィスの外からの音

オフィスの外からもさまざまな音が入ってきます。
道路や近所の施設の音だけではなく、入居するときには行われていなかった工事が近隣で始まり、騒音や振動に悩まされることがあるかもしれません。あらかじめ防音対策をしていればある程度は軽減されますが、何も対策をしていないと、仕事どころではなくなる恐れも……。

また、建物内で発生した音がオフィスに入り込んでくることもあります。設置してある自販機で飲み物を買う音、出入りする人々の声など、入居してみなければ気づかない騒音はさまざまにあるものです。こちらも防音対策をしていれば軽減できますが、そうでないとイライラの原因になることは想像に難くありません。

オフィスで防音対策が必要な箇所

防音対策をしていないオフィスは、多種多様な騒音が発生することがわかりました。では、どこにどのような対策を施せばよいのかを具体的に見ていきましょう。

執務室、デスク周り

仕事をする執務室、デスク周りの対策は必須です。
まず、壁や床を防音機能のあるものに取り換えます。簡単に取り換えることができない場合は、壁や天井に吸音パネルを貼ったり、床に吸音マットやカーペットを敷いたりするなどして対処してみましょう。

デスク周りに関しては、吸音機能のあるパーティションを設置する方法がひとつ。そのほか、集中スペースを別の場所に設置する会社も増えています。図書館の自習席やカフェのカウンター席のようなイメージです。集中スペースの壁や床、天井に防音対策をした上で、「集中スペースにいる人には話しかけない」「近くで騒がない」などのルール作りもしておきましょう。

窓は、思いのほか音が出入りしやすい場所です。壁や天井に対策をしても、窓が無策では意味がありません。
手軽にできるのは、防音カーテンを取りつけたり、窓ガラスに市販の防音フィルムを貼ったりすることです。ただし防音カーテンは、オフィスや建物内で発生する音に対しては有効ですが、外から入ってくる音を遮断する効果は期待できません。隙間テープで窓周りにある隙間を埋めて、音の侵入を防ぎましょう。

会議室

会議室は、大事な会話をする空間ですので、できる限り音が漏れないように対策をしたい箇所です。
まずは壁や天井、床に音を吸収する吸音材を取りつけます。可能なら、専門の業者に依頼して工事ができるとよいのですが、難しい場合は市販のシートやパネルを取りつけたり、吸音効果のあるパーティションを置いたりするなどの工夫をしてみましょう。
ドアにはわずかな隙間が生じ、そこから音が漏れるおそれもあるので、市販の隙間テープで隙間は埋めてください。

ただ、残念ながらこれらの方法は簡易的なもの。完全に遮音できるわけではないので、あまり効果が感じられないこともあるかもしれません。本格的な防音対策を考えるのであれば、会議室を防音室に造り変えるという方法もあります。ぜひ検討してみてください。

オフィスの防音について解説しました。企業としては、集中力を高めて生産性を向上させることを考えていかなければなりません。情報漏洩(ろうえい)も防ぐ必要があります。そのための環境整備は、しっかりとしておきましょう。そのひとつが、騒音対策です。しっかりと防音をして、働きやすいオフィスを作り上げてください。